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2015年8月某日 都内某所

劇団セルビシエ’第6回公演『ヴィア・ドロローサ』振り返り座談会 vol.1

インタビュアー:渡辺直希(劇団セルビシエ’団員)

 

高橋陽文(脚本・演出、以下:高橋)

タリ(マリナ役・衣装・振付、以下:タリ)

松本鮎子(アンデレ役、以下:松本)

木野紘器(バルトロマイ役、以下:木野)

田中智絵里(老婆役、以下:ちえり)

 ―役のバックグラウンドみたいなのを考えすぎないで武器1本だけで戦ってくれって―

(高橋)

高橋   ヴィア・ドロローサの座談会ということで、じゃあ直希さん、お願いします。

――   はい。お疲れ様でした。

一同   お疲れ様です。

――   いつだっけ公演したの?

タリ   5月。

高橋   公演は5月の23、24。

――   ってことは、今8月の半ばくらいだから……

松本   早ーい。

高橋   今3ヶ月くらい。

――   3カ月、今3カ月経つか経たないかくらいでしょ?

松本   うん。

ちえり  何にもしてない……

――   3ヶ月経ってみて、まあ大雑把に振り返ってみて、何となくこんな公演だったなぁっていうのを、

     まず脚本家から。

高橋   そうっすねぇ……

――   ……色々あったじゃん?今までと違かったじゃん?今までの公演と。

高橋   はいはい。

――   まずお前が脚本やってるっていうところだとか……

高橋   ……

――   皆まで言っちゃう?

高橋   (笑)いやいや、あー、なるほどねぇ。まあまあ、公演終わって、そうっすね、なんかあるかな?

――   文字になるからね、これ。

高橋   そうなんだよね。緊張感あるね。

――   そうだよ。

高橋   まあ、結構大人数で、客演の方もいっぱいいてっていう公演だったんで、色んな面で、

     ボリューム感があったっていうか……自分の仕事としても脚本とか演出やんなきゃいけなかった

     んで。ただまあ本番、プレもいれると4回やって、やった感触としては、満足のいくものだった

     ので、それを経てみると、今まで以上にやりがいのあった公演だったなぁっていうのは。

――   なるほど。っていう風に脚本家が言ってるんだけれども、どうっすか?

一同   ……

高橋   何これ?反論が来るの?(笑)

一同   (笑)

――   ちなみにちえりちゃんはさ、ダブルキャストで、おばあちゃん役、で出番の少ない役だった

     じゃん。で最初はなんかもうがっつりやりますと言ってたけど、結局ダブルキャストで……

     まあ、どちらかというと外から見ることが多かったのかなって、今回外から見てて何かあった?

     何か雰囲気違うなとか。

ちえり  まあ、なんかその、セルビシエだけじゃなくて、いろんな客演さんがいた分、雰囲気は全然

     違ったし、すごく新鮮だなっていう感じ……いや、わかんない。でもその客観的に見れるなって

     感じでした。その立場的には。今までより凄い、冷静に見てた感じ。

――   なるほど。おばあちゃん役はどうだった?

ちえり  (笑)うーん、今まで結構こうやってきたのが……

高橋   集大成?(笑)

一同   (笑)

――   あそこに濃縮されてんの?(笑)

ちえり  (笑)ハマっちゃったみたいな?でも結構、同世代とか……まあ、そういう……うん……

高橋   ……まあ、基本的にはね、ああいう老人とかさ、ほんとはさ、無理あるじゃん?

――   まあ、ほんとなら老人にやってもらいたい?

ちえり  (笑)

高橋   いや、まあ、そうなのよ。でもこのグループでは無理じゃん?だから、誰かしらが無理するしか

     ないっていうか(笑)

――   あー、なるほど。

高橋   でもやっぱ、老人とかの役がいるとちょっとね、物語的に奥行きが出たりとか。まあ、あれは

     ホントにチョイ役だったけど。

――   まあ奥行きなんかでるはずもなく?(笑)

高橋   出るはずもないけど、でも街には当然老人とかが暮してる訳で。

ちえり  そう。そういうのを見る目が変わって面白かった。たとえば昔キャッツやった時は、全然猫興味

     無かったけど、猫をこうジッと見たりとかすることが増えて……

高橋   老婆をジッと見てたの?(笑)

ちえり  (笑)普段こう結構、同世代の女の子をやることが多かったりとかしても、どういう感じかな

     とかって考えたりはしても、女の子をジッと見たりとかはしなかったけど、今回は道行くすれ

     違うおばあちゃんをジッと見て、みたいな。

――   おばあちゃんジッと見てみたりとかしてたんだ?(笑)

ちえり  どうやってやろうかみたいな(笑)

高橋   でもあんまりさ、セルビシエの今までの劇って、自分とそんなに離れてないキャラクターって

     いうか、自分そのままで演じられるキャラクターとかあったけど……

タリ   まあ、当て書きが多いからね、セルビシエは。

高橋   そうそう。でも今回とかは割と、老婆なんかは最たるもんだし、あとは12使徒なんかはほとんど

     もうキャラクターが出来上がってる役だったから、自分を役に当てこんでいかなきゃいけない

     みたいな、そういう演技面での新鮮さみたいなのはあったかもしれない。

ちえり  うん。

――   なるほど。まあ確かにね。当て書きが今まで多かった分、この役やってほい!って言われるの

     は、けっこう新鮮だったかもね。

高橋   そうね。

――   まあ、その中で木野さんは、もう結構初期の初回の読み合わせくらいから完成度がだいぶ高かっ

     たって聞いてるけど?

木野   そうですねえ……

――   あれは?

ちえり  当て書きなんですか?

高橋   あれはまあ、当て書きではないんだけど、やれそうかなっていう。

木野   江戸っ子の役だったんだけど。

――   江戸っ子の役じゃないんだよ(笑)

一同   (爆笑)

――   江戸っ子の役ではなかったんだけど、口調が江戸っ子だったってだけで(笑)

木野   あー、そうそう。口調が江戸っ子の役で、江戸弁って喋ったこと無かったから……だから、これで

     良いのかなって思いながらやったら、意外とそれでよかったっていう。

――   あー、じゃあ結構周りからの評価はもう、結構木野さん完成してんなっていう評価があったけ

     ど、木野さんの中では別に?

木野   手探りだよねえ……

一同   (爆笑)

――   (笑)ああ、そうなんだ?

木野   そうなんだよねえ。

――   でも、どうだったやってみて?あの最終的にはどのあたりで掴めたのかな?

木野   いやあ、最後まで手探りでしたよ。

高橋   やかましいわ(笑)

木野   今なお、手探りだし……

高橋   ……まあ、そうだろうね。今は完全に手探りでしょうね(笑)

一同   (笑)

――   (笑)そっかそっか。

タリ   向上心の塊だね、ある意味。

松本   はあ、面白い(笑)

木野   だって、江戸っ子じゃないんだもん。

――   江戸っ子じゃないからね?元がね?

木野   ほんとは江戸っ子じゃないのに、江戸っ子の役をしてる役?

――   うん。そうそう。

木野   難しいよねえ。

一同   (笑)

――   でもそういう意味じゃ、木野あたりはやりやすい役だったんだよね?キャラ的にっていうか反射

     神経的にも。何かすぐパッといけるっていうか。

木野   やれって言われればね。

――   やるしかないもんね。で、そういうとこで言うと、まっつー(松本鮎子)はなんか、とろーん

     とろーんとした役だったじゃんなんか?

松本   (笑)そうだね。

――   そういう役初めてでしょ?セルビシエで振られたの。

松本   ……そう、だね。そうだね。そうかも。

――   やりづらくなかった?

松本   ……

高橋   まっつーはやりづらかったかもね。

松本   やりづらかったかも。結構。

――   結構ホントにやりづらそうな感じで言ったね(笑)

松本   いやいや(笑)なんかさ、あのー、「12使徒はエッジを立たせて」みたいな話を中盤くらいかな?

     中盤くらいで言ったんだよね?陽文が。

高橋   そう。なんか丸く1人のキャラクターを作るんじゃなくて、1角だけピーンと。

松本   そうそうそう。

――   まあなんか、全体で綺麗になってりゃいいみたいな?

松本   そう。なんか、アンデレはどんな風な性格で生きてきたかとかそんなことを考えないでみたいな

     事を皆に言ったんだよね?12使徒に。

――   あー、なるほど。

松本   そうつまり要は……

高橋   ……役のバックグラウンドみたいなのを考えすぎたり、勝手にストーリー作らないで、武器1本

     だけで戦ってくれって。

松本   そうそう。そう言って、なんかそれに何人かが影響受けて、「そうなんだ!」みたいな感じに

     なった子が何人かいて……3人くらい。

高橋   ……12人中の3人?(笑)

松本   そう(笑)

一同   (笑)

――   12人中の3人!?(笑)

松本   (笑)そう、その3人が凄い良くなってきて、で周りが、「あ!こういうことか!」って感じでその

     3人を見てだんだんわかってくるみたいな。

――   なるほどね。あ、こうやりゃいいんだ!みたいな?

松本   そうそうそう。

――   そこで言うと、でも確かになんか、傍から見てて全体的に12使徒は観てて飽きなかったよね?

高橋   そうだね。いや、やっぱり何か役者ってね、俺もこう役者としてこう……やってると……(笑)

一同   (笑)

――   うん、いいよ(笑)その体できていいよ。

高橋   (笑)いや、あの、セルビシエで役者として参加することが多かったけど、やっぱり何か、背景と

     か、なんでこの人こんな所でこんなこと言ってるんだろうみたいな脚本に書かれてないストー

     リーみたいなのを想像しつつやっちゃうんだけど、そういうのを敢えてやらないっていう演技

     プランっていうか、方針だったんで。

松本   そうだね。

――   まあ、12使徒はまあ、見ててわかりやすかったし、こいつはこういうキャラだなっていうのが

     すぐ分かったしね。繰り返し言ってくれるから。

高橋   出てくる場面も少ないし、あとはまあ出てきても、俺の中で12使徒が出てきた場面は1人1回は

     必ず順番に話させるっていうのがノルマとしてあったから。

――   なるほど。

高橋   でもそうなるとやっぱりね、1人1人のセリフ量的には薄くなっていくから。その中でキャラク

     ター出すにはそういう風に、1本だけ槍持って戦う方がわかりやすいし、面白いかなっていう。

(文責:和田幸子)

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